2011年05月27日

「ピストルと天使」

ピストルと天使 [Maxi] / BUGY CRAXONE, 鈴木由紀子, 本田毅 (その他) (CD - 1999)

 ジャケットを見てレコードやCDを買うことを「ジャケ買い」と言うが、私はジャケ買いをしたことがない。ただ、インタビュー記事を見て音楽を聴かないうちに買う「記事買い」はしたことがある。BUGY CRAXONEの「ピストルと天使」は、そのうちの一枚である。

 BUGY CRAXONEは1999年メジャーデビュー。私が記事買いしたのはそのデビュー曲。音楽誌での彼らは、それまで見たことのない独特の尖った発言をしていた、ように思った。虚勢を張ったりということでなく、ストイックに前を見つめる、ジャンルやスタイルではなく作品にこだわる、そんな姿勢を感じた。
 ボーカル鈴木由紀子のビジュアルも気になった。鋭くも儚い美貌、という感じだったが、崩れてしまうことは予想できなかった。彼女は進み続けることができる人だろう、漠然とそう思った。

 「ピストルと天使」はやはり、聴いたことのない攻撃力を持った一曲だった。悲観的なことをつぶやきながら、最後に大丈夫と自分に言い聞かせる。よくある根拠のない応援歌ではなく、葛藤の底からひねり出したかのような言葉だった。他の楽曲においても、鈴木の詞は感情に素直でありながら、ただ吐き出すだけでは収まっていなかった。沈み込んでしまいそうな事実も、助かりたい気持ちも、どのように表現すればもっとも「痛く響くのか」を考えているのではないか、そう感じた。

 その後BUGY CRAXONEはヒット曲を飛ばすことはなかったが、今でも活動を続けている。多くのバンドが解散や活動停止をする中、彼らは尖った作品を奏で続けている。本物だから続くのだろう、そう思っている。直接自身の創作に影響を受けているかはわからないが、BUGY CRAXONEから受けた感触を、自らも手に入れたい、と思うことはしばしばある。もっと多くの人に聴いてほしいバンドだ。
posted by らくは at 16:15| Comment(0) | ★紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする