2012年01月21日

★『海の81マス』




 長編小説を投稿しました。
 島に住む少年と、島にやってきた少女の物語です。
 将棋を楽しむ少年と、将棋に捕われた少女の物語です。

 よろしくお願いいたします。
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2011年12月22日

★『駒.zone vol.3』公開




 将棋文芸誌の第三弾、本日公開です。

 今回は寄稿も充実、様々な作者の文章が楽しめます。

 年末年始にぜひ読んでみてください。
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2011年11月13日

ギブアップからIまでの距離−2


「みなさま、お久しぶり」
 長身の男は、目を薄く開いたままに言った。集まった人々は目を見開いて対峙していた。
 先週までここにいたボスは今いない。その代りに、かつてここで最も輝いていた男が戻ってきた。
「Clemencyのことはこのジムにとっては試練の一つだ。今後改善していけばいい。ただ……ボスのことは、本当に大きな試練だ。一日も早い回復を祈るしかない」
 男は一瞬、リングを振り返った。そこには様々な歴史があった。その男、Jimは、十年以上の歳月をそこに賭けてきた。幾度もベルトに挑戦し、ついに獲得できなかった、それでももっともファンに愛された格闘家。
「ボスが戻ってきたとき、笑顔になれるような環境を作っておく。それが私の使命だと考えている」
「Jim……本当に引き受けてくれるのか」
 そう聞いたのは、Kenという名前の青年だった。まだ若いものの、このジムで最も実績を残している。
「もちろんだ。ここを去るとき、いつでも必要な時は戻ってくると約束した。それが今だろう」
「そうか。よかった」
 それまで暗かった人々の顔に、少しだけ明るさが灯った。Jimは、それでも一切表情を崩さなかった。
「ロボット格闘技は非常にコストがかかる競技だ。かかわる人数も多い。負けることは糧になるが、負け続けるわけにはいかない。ライバルに勝つためには、ライバル以上の努力をせねばならない。そのためには皆の協力も必要だが、新しいパートナーも重要だと考えた」
「新しい?」
 そう聞いたのはHans。最も古参で、Gimの次に年輩の男だった。
「ああ、古い知り合いがいてね。連絡を取ったところ今はフリーということだった。もう60近いんだが、元気な奴だよ」
「どんな人間なんですか」
「優秀なプログラマーだ。かつて、ショウギというゲームで世界一になったことがある」
「ショウギ? そんなプログラマーをパートナーに?」
「そうだ。Clemencyはまだゲームというものを知らなすぎる。他のロボットより秀でるには、秀でた方法でゲームを覚える必要がある」
 そこで初めて、Jimは小さな笑みを浮かべた。
「簡単に言えば人間の真似事から脱皮できる可能性があるということだ。ショウギは、そうしてコンピューターが人間を超えた」
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